空港から直送便
ごきげんよう、入浴がてら剃髪してたらカミソリで頭皮を削ってしまって出血大サービスのおじさんです。
三度目のタイに旅立ったおじさんは、やっぱりふらふらのぐるぐるでした。さて、その道中はいかがなものだったのか。手術は無事にできたのか。これからお話ししていきますよー。それー。
口が聞けない
前回渡航時、みっちり客が乗ったTG機でぐったりしたおじさんでしたが、前回と同じアテンド会社を利用する今回も、やはり同じ目に遭いそうなので、何とか対策したかった。
身体もメンタルもぐったりで、とても人と会話できない。どうしても、という場面以外はできるだけ会話を避けたい。
という訳で。
航空券手配の際に手配主、つまりアテンド会社から航空会社に、キャビンアテンダントは必要最小限のこと以外は話しかけないようにしてほしいと、予めお願いしておいてくださいと、面倒なことを頼みました。
さすがにそれはできませんという回答を頂きましたが、その代わり、次の文書をつくってくださいました。
機内でのトラブルを避けるための英文と日本文
Dear in-flight attendance I have a sickness of depression at this moment.
現在、私には少し、精神面での不調があります。
So, please don’t care so much about me.
ですので、どうかあまり話しかけないでください。
Thank you for understanding.
ご理解頂き有難うございます。In-flight meal or some drinks, I will ask you if I need it.
Thank you for understanding.
食事と飲み物は必要に応じて、私からお願い致します。
宜しくお願い致します。
これを見せることで飲みものや食べものはすべて断ることになってしまいますが、それでも会話をしなければならないよりはずっとしんどくありません。うつというのはそれだけしんどいのです。
これを印刷したものを携帯しておいて、CAが来たときに見せれば口を聞かなくていいという寸法です。大変有難い。いざというときにはこれを見せればいいのだという安心感がありました。
このときのおじさんはさいわい、しんどくてつらいけれど「はい」と「いいえ」くらいなら答えられる状態だったので、機内で飲まず食わずという事態は避けられました。
▲これは2005年の機内食
この書面を持ち歩いているという安心感は何ものにも代え難いものでした。無理をお願いしたというのに、親切なご対応をくださったアテンド会社にはいまだに感謝が尽きません。
おかげさまでしんどい会話もなく、無事にミールサービスも頂けて、機内ではいくらかうとうとすることもできました。夕方発の深夜着の便。空港でのアテンドさんとの待ち合わせも前回と同じ場所だったので、落ち合うのもスムースです。
アテンドさんと会えたら、あとは自動車に乗りさえすれば行くべきところへ運んでもらえます。もう夜中だし、一旦、宿まで運んでもらって……と思っていたら、ヤンヒー病院へ直送でした。前回は前泊があったのになー?
深夜も動く病院
病院に着くと、すぐに入院手続きです。いやはや慌ただしい手続きで、看護師・職員が群がってきて、荷物を引き取ってくれて、車椅子にすわらせられて、書類とボールペンを渡されて、移動する車椅子の上で書類の内容を確かめてサインをするという多少アクロバティックな感じです。
書類はすべて英文。入院時の注意事項、手術時の免責事項などが書かれています。サインはパスポートと同じもの、つまり日本語で書きます。
病院には数箇国語の通訳が常駐していて、日本語の通訳もいます。書類の内容も一ト通り説明してくれました――移動する車椅子とともに移動しながら。
書類の記入を終えてレントゲン撮影だの採血だのという手術の事前検査をこちらも一ト通り済ませると、次は入院費用の支払い。ヤンヒー病院はクレジットカードでも支払可能です。
当時折りしも円高ドル安。ドル建てでも支払えるからと、国内でここぞとばかりにドルを買ったおじさんはドル束を渡しました。
が、円建てで払った方が病院の出納係もアテンド会社側もわかりやすかったみたい。手間を増やしてごめんなさい。
そんなこんなでばたばたと手続きと検査が終わったのが、現地時間の午前2時頃。入院着はなかったので着のみ着のままで病院のベッドでおやすみなさい。病院に着いてからベッドに就くまでが慌ただしかった……。
バンコク着翌日手術
頭がぐるんぐるんのままバンコク第1日が過ぎ、第2日目もやはりぐるんぐるん。こればかりは仕方がない。病院の朝食をいただいて、すぐに精神科のカウンセリングがありました。
これはおじさんがぐるんぐるんだから手配されたものではなく、前回の手術から今回までの間に制度が変わって、性別適合手術を受ける人は全員カウンセリングを受けなければならなくなったのです。世界各国で性別適合手術に関する法律が整えられつつあって、患者から望まれるままに手術したんじゃいけませんということですな。
おもしろいのは、カウンセリングが精神科の診察室で行われるのではなく、精神科医と通訳さんが病室に来てくれるということ。手術に関する診察はアテンドさんが通訳してくれますが、精神科の診察は病院の通訳さんが来てくれます。診療科によって通訳に必要な語彙が違ってくるのでしょうな。
カウンセリングが終わったら、腸内洗浄。例の大きな機械にセッティングされてしばらく放置されるやつです。肛門からじゃばじゃばお湯を注入されて、腹がいっぱいになったら出す、というのを小一時間繰り返します。お腹すっきり。
病室に戻ったら剃毛。と告げられていたのですが、待っても待っても音沙汰がありません。やがて昼食の時間になり、夕食の時間になり、夜。どんだけ待たせるねん。日程については何にも言われてないし、ただただ病室で「忘れられてるんじゃないか」という不安をお供に待ちます。
食事はもったりどろどろとしたスープと、ゼリーと、ジュース。手術を控えているので固形物は食べさせてもらえません。ゼリーは昼食だけ。夕食はどろどろスープとジュース。スープは味がほぼなくて、どろどろとした舌ざわりが気味悪く、でも全部食べました。
剃毛がはじまったのは21時。12時間ほど待ったことになります。何だか乱暴に2人がかりで看護師が剃ってくれたのですが、ドライシェーブです。へそから下をT字カミソリでぞりぞり。痛いの。雑な感じに30分ほどかけてぞりぞりされて、「シャワーですすいでおいて」とまた放置です。
剃毛した跡をシャワーで洗って、その日はそのまま就寝。手術はさらに翌日だったんですね。それくらい先に教えておいてよう。と、後から思ったのでした。
という訳で、みなさんが心待ちにしているちんちんをつくる手術の話は、次回のお楽しみです。も少し待ってね。
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