おじさんがおじさんになるまでの話

おじさんは昔おじさんではなかった。それどころか、男の子でさえなかった。男の子に生まれなかったおじさんが、いかにしておじさんになったかを少しずつお話ししていきます。

ちんちんできた

ごきげんよう、大きなお仕事のご依頼を頂いたり突然の不調で寝込んだり慌しいおじさんです。

3回目の渡タイ、陰茎形成術のための渡航について、前回までお話ししていました。慌てて書いたので事実の羅列になってしまって、あまりおもしろくなかったかも、とおじさんは省みていますが、いかがなものでしょうか。

今回は、いよいよ手術でちんちんをつくります。

ちんちんをつくる手術

前日までに事前検査やら腸内洗浄、剃毛と済ませまして、バンコク滞在3日目にしていよいよ陰茎形成術を受けます。ちんちんをつくる訳です。

これまでの経験と同じように、ストレッチャーが病室まで迎えに来てくれます。今回は何と午前7時30分頃に現れまして、病院の朝食は8時からですよ? 手術を受ける人はごはん食べないからいいのだけど、病院の人は朝ごはん食べたの?

ストレッチャーに乗せられて、準備室に入って心電図だの心拍計だのつけられて、名前や生年月日を問診されて……というのはこれまでと同じ。会話は英語。タイ語を話せればベストですが、中学英語程度で何とかなります。

準備が整ったらストレッチャーごと手術室へ。自力で手術台に移ります。

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ひんやりと冷房が効いた部屋でほぼ全裸にされるのもこれまでと同じ。点滴の針が打たれて、酸素マスクがつけられて、手術スタッフの「シンコキュウ!」の一喝で、すーーーはーーーと深呼吸を2、3回。すると意識が消える。意識が戻ると手術が終わってる。従来通り。

目が覚めたのは準備室。ストレッチャーの上で、左腕がずーんと重い。もちろん物理的に重石が乗せられている訳ではなく、そんな感覚。

ここまでこのブログを順番にお読みくださった人は既にご承知のことですが、おじさんは左腕から「皮弁」というちんちんをつくる材料を採取するべく、腕の内側にトンネルを開通させるなどの前処置を施してきたのですが、それを今回の手術ではいよいよ切り取ったのです。

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かなり広範囲に切り開いて切除した訳ですから、前腕の半面が傷になっていて、ずんと重い感じがするのはその痛みでしょう。まだ麻酔が効いているし。

病院スタッフに起こされて、時計を見ると午後1時。手術にかかったのは4時間くらい? 取り敢えず無事に終わったみたい。起こされてから30~40分ほど放置されて、それからストレッチャーごと今度は病室へ。

病室に着いたら入院フロアの10階にいるナースとストレッチャーを押してきた人が寄ってたかっておじさんを転がしたり持ち上げたりすべらせたりして、病室のベッドに移動させてくれました。おじさんは意識はあるものの身体が動かせる状態ではなく、されるがままです。

術後はじめての体験

ナースらが栄養剤と鎮痛剤の点滴やら排尿用のカテーテルやらを大勢で一気呵成に整えてくれて、一斉に退室していきます。嵐のようです。

病室にはアテンド会社のNさんが来てくれていて、おじさんの身辺が整うと水を飲ませてくれました。Nさんは帰国までおじさんの世話をしてくれる担当アテンドさんです。

手術を受けるという経験がある人はご存じのことと思いますが、たいていの手術は終わると喉(と言うか口蓋)が渇いています。すぐに水が飲めるのは大変有難いことです。

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前回までの手術時と違うのは、このときのおじさんの姿勢はフラットだったということです。前回まではベッドの背をいくらか起こした姿勢を取らせてくれていたのですが、今回はそれはなし。ベッドは真っ平らの状態です。

その状態で水を飲むのですから、ストロー必須。Nさんが口の位置までコップを運んでくれます。おじさんは少しも動けないのです。首を左右それぞれ60度程度傾けられるくらいで、ほかには何もできません。相変わらず腕はずーんと重いし、下半身はまるでないみたい。

水を飲ませてくれたNさんはおじさんにすぐ訊ねました。

「ハキする?」

Nさんは現地スタッフ。日本語が話せるタイ人女性です。但し、日常会話ができる程度の日本語。通じるけど文法に照らすと正しくはない言葉もたくさん話します。「ハキする?」というのは「嘔吐しますか?」という意味。

麻酔の影響で吐き気を催す人、吐いてしまう人は結構います。でも、おじさんはこの時点で過去に4回の手術を受けていましたが、そのいずれでも吐いたことはありませんでした。このときも吐き気はなかったので「しない」と答えました。

しかし。

まさにこの直後、胃の辺りから食道を水が上がってくるではありませんか。すっぱい水ではありませんでした。すぐさま「吐きそうです」と訴えます。

Nさんは横たわったおじさんの口許にベースンをあてがってくれました。「ベースン」というのは病院でよく見られる、空豆型のトレイのことです。あの曲線が口許にちょうどいいのですね。

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ベースンが口許に来た途端におじさんは吐きました。手術前は固形物を食べていないし、日が変わってからは何も食べていないので、液体しか出ませんでしたが、嘔吐なんて何年振りのことでしょうか。そして、手術の後の麻酔による嘔吐ははじめてです。初体験。

昼食の時間はすっかり過ぎているのですが、Nさんは術後用の食事をオーダーして取り置いてくれていました。主食は白粥。嘔吐直後ですが、これがとても食べやすかった。おじさんはフラットに横たわっていて起き上がれないし腕も使えないので、Nさんが食べさせてくれました。

メインディッシュは鶏の照り焼き。これを小さく一ト口大にしてNさんが口に運んでくれます。おじさんは鶏肉大好きっ子なので食べやすかった。肉を食べると元気が出るような気がします。あまりたくさんは食べられませんでしたが、人心地がついた感じがしました。

ちんちんカバー

今回おじさんが受けた手術は陰茎形成術。ちんちんをつくる手術です。手術が終わったので、ちんちんができています。術後、病室のベッドでおじさんは薄い掛け布団を掛けてもらっていました。術後の人は寒がることが多いからです。

そこでひと工夫。

手術でつくったばかりのちんちんに無用な力がかかっては、縫い合わせたものがずれたりかたちが悪くなったりするかもしれません。そんなことを防ぐために、おじさんの股間にはちんちんを覆うカバーがつけられたのでした。

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ペットボトルを切ってつくったみたいな外観とつけ心地。実際はそんなラフなものじゃなくて、おそらく医療用器具として生産されているものなんだろうと思うんだけど。これが術後1週間か10日、抜糸するまで被せたままで、つまり寝返りを打てない。抜糸をしても自由には寝返りできない。

寝返りできないって、かなりしんどいです。おじさんの場合は尻が痛くなってしまって、尻の下にジェルマットを敷いてもらったりはしたけれども、ベッドを降りられるようになるまで(2週間くらい)絶え間なく痛くて難儀でした。

左腕はギブスで固められて包帯ぐるぐる。ちんちんはカバー付。そんな状態が2週間ばかり続きます。苦行か。

 

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