おじさんがおじさんになるまでの話

おじさんは昔おじさんではなかった。それどころか、男の子でさえなかった。男の子に生まれなかったおじさんが、いかにしておじさんになったかを少しずつお話ししていきます。

ちんちん再手術

ごきげんよう、40代になってからてきめんに低気圧の影響を受けやすくなったおじさんです。梅雨どきは倦怠感と頭痛で体調が実にうっとうしいヨ!

前回は、ようやく尿道カテーテルが外れたというのに再手術を宣告されてしまったおじさん。腕の内側から皮弁を剥がして、股間につけて神経をつなぎ合わせて皮弁をちんちんのかたちに縫い合わせて……という大手術をしておきながら、同じ部分をもう一度手術です。

大手術をもう一度、つまり安静生活をもう一度ですか……と、ほぼ絶望に近い心持ちのおじさんはこの後どうなるのでしょうか。いざ、続きをどうぞ。

再び手術室に in!

執刀医の再手術宣言とともに病室に集まっていたナースも散り散りに別れて、すぐに数枚の書類が運ばれてきてサインを求められます。承諾書の類いですね。サインをしたらストレッチャーも間もなくやってきて、それに乗せられて手術室へ。あっという間。

これまでと同じように回復室で一ト通りの手続きをして、手術台へと移るのもこれまでの手術と同じです。心拍計や点滴が身体につながって、麻酔ガスのマスクがつけられます。マスクをつけて何度か深呼吸をしたら眠ってしまうはずですが、おじさんはまたも眠りませんでした。

そこで、執刀医が手を伸ばして、親指でおじさんの喉仏を強く押さえました。

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苦しい、と思ったら意識が落ちていました。次に気がついたら手術は終わっていて、既に回復室にいました。やはりこれまでと同じようにしばらく回復室にいた後にストレッチャーで病室へ送り届けてもらいます。病室に戻ったのはお昼前でした。手術は2~3時間で済んだのかな。

何が何だかわからないうちに再手術の宣告を受けて手術を終えたのですが、アテンドのNさんが執刀医に詳細を聞いてくれたところによると、「再手術」とは言ったものの実際は「検査」程度のものだったようです。

縫い合わせたものを再び切り開いたのではなく、尿道口つまり形成したちんちんの先っちょから内視鏡を挿入して膀胱までの尿路を見たところ、尿道狭窄などの異常はなく、治癒も順調だったそうです。じゃ、何でおしっこが出なかったの?

それは執刀医(形成外科医)の範囲ではないので、術後に泌尿器科医の診察を受けることで探っていくことに。おじさんはもともとが排尿の感覚が長くて、1回の量も少ないとのことで、排尿を促す薬を服みながら、水もたくさん飲んでたくさん排尿しなさいと指導されました。

手術は検査程度のものだったけど、また尿道カテーテルと尿バッグがつながったのでした。とほほ。

腕から鉄のとめ具を剥ぐ

とにかくおしっこが出るようにしなければならないということでその措置が執られましたが、どうして出なかったのかはわからないままです。この手術から10年近く経って、いまだにこの症状が出ることが多いのですが、理由や原因はまだわかっていません。

一部の抗うつ剤には副作用に尿閉(排尿できなくなること)を持つものがあって、おじさんもこれを経験しているのですが、このときは1箇月以上も精神科の薬は断っているので、副作用によるものではなさそうです。

謎でござるなーでございますが、謎は謎のままで想いは想いのままで、左腕のステッチを外す作業に移るのでした。ステッチというのは手術で切開した部分を閉じるのに使用したものですが、抜糸とはまた違うんです。ステープラーの針を外します。

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当ブログをお読みのみなさんも、医療用のステープラーがあるということはご存じかと思います。傷を縫い合わせるホッチキスですね。「ホッチキス」というのはマックス株式会社の商標(医療分野のみ登録)なので、「ホッチキス」と呼んでいいのはマックス社の製品だけです。

さて、皮弁を採取するために切開して、尻からはがした皮膚を貼ってステープラーでとめてあった左腕なのですが、この日ステープラーの針を外した訳です。この針がね、鉄なの。銀色の、幅2mmくらいありそうなごっつい針。シリコンじゃないの。おじさん自身もこの日はじめて目にして「げ」と思いました。コワイ。

 1週間ほど前にギプスを外して洗浄したときと同じように、ベッドに横になった状態で腕を台に乗せて、それを執刀医とナースが取り囲んで処置してくれたのですが、執刀医がでっかいペンチみたいな器具を持ってるし、ステッチを外すのを見るのが怖かったのと、もうひとつ理由があってよそを向いていました。

実はこのときちょうど泌尿器科の医師が病室に来ていて、そちらと話していたのです。医師と一緒に病院勤務の通訳氏が来ていたので、日本語で話せます。このときにおじさんは排尿の感覚が長いとか1回の量が少ないとか、抗うつ剤尿閉になったことがあるとか話して、じゃあ薬を出すから、ということになったのでした。

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上の写真は腕じゃなくて尻で、かつ前回渡航時のものなのですが、腕に使ったのと同じステープラー&針です。腕もこんなやつでとめてました。針の数はもっと少なかったけど。

という訳で、ごついステープラーの針を外すシーンは直視せずに済んだのですが、腕はまたもや包帯ぐるぐる巻きになりました。まだ包帯は外れない。ステッチは外したものの、傷はまだ塞がってないのです。傷が塞がるまでにはかなり長い期間が必要で、帰国後しばらくはぱっくり開いていました。ひー。

退院予定の日

腕のステッチを外した翌日が、当初予定していた退院の日です。おしっこは出ないし再手術したし、退院は延びたんだろうなーとおじさんは思っていました。が、アテンドのNさんが言うには「今日、退院できるよ」。

「先生に診てもらって、OKだったら退院できる」とのこと。病院側が言うには、14時チェックアウトの予定らしい。病院にもチェックインとチェックアウトの時間があるんですよ。病室のチャージ(料金)に影響するんですよ。

 Nさんが言う「先生」は泌尿器科の医師。最後に診察しておしまいになるはずなのですが、なかなか来ない。尿道カテーテルと尿バッグがつながってるのを何とかしてもらわないといけないのだけど、何と14時を過ぎても来ない。

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「待つ」時間というのは長く感じるもので、約束なんて当てにならないなーと思っていたら、Nさんが教えてくれました。

「タイはだいたいこんな感じ」

いわゆる南国時間なんですね。あまりきっちりしていないお国柄なのだそうな。おじさんも国内では南国の方で生まれて、路線バスが時刻表通りに来たことがない地域に住んでいますが、ここまでのことは初体験です。

泌尿器科の医師は15時を過ぎてから現れて、このように言いました。

「尿の出をよくする薬を出しておくので、きちんと服んで。水も沢山飲んでね。一旦退院だけど、6月11日から12日にかけて再入院。そのとき、おしっこがうまく出るか見せてもらうね」

条件付きではありますが、何とか退院です。さて、まだつながったままのカテーテルと尿バッグをどうするかというと、携行用の尿バッグてのがあるんですな。

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なかなかおしゃれさん。おじさんはかっこいいと思いました。バッグからこぼれないように気をつけなければならないけど、尿意を感じるたびにトイレに立つ、ということをしなくていいので、便利と言えば便利です。

退院したけど、どういう生活になるのかしら。それを次回からお話ししましょう。次回もよろしく!

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