おじさんがおじさんになるまでの話

おじさんは昔おじさんではなかった。それどころか、男の子でさえなかった。男の子に生まれなかったおじさんが、いかにしておじさんになったかを少しずつお話ししていきます。

救急車で運ばれた話(1)〔個人史27〕

ごきげんよう、風呂上がりには頭に化粧水をつけているおじさんです。保湿。

前回は、おじさんの人生の転機であった半年×2回の精神科入院を終えてからのお話をしておりました。そろそろおじさんの個人史、半生記もおしまいに近づいております。

おしまいにしてしまう前に、忘れがたいものがありますので、そのお話をしておきましょう。救急車の経験とうれしいご依頼の仕事と、死を目指したお話です。

増え続ける咳

おじさんは50歳になるまでに2回、患者として救急車に乗ったことがあります。どちらも40代後半になってからで、そのうち1回は他者が呼んだ救急車、1回は自分で呼んだ救急車です。まずは1回めのお話。2015年のことです。

冬でした。咳が出てくしゃみが出て鼻水が出て治まらないので、病院に行きました。これはインフルエンザかもしれんな、と思いながら受診したところ、医者に「レントゲン撮ってきて」と言われました。その病院は小さな個人医で、レントゲン撮影の設備がなかったのです。

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おじさんが住む市内には「成人病センター」というのがありまして、そこは設備がない病院から依頼を受けてレントゲンやらCTやらを撮影してくれるのです。病院からも自宅からもやや離れた場所にありましたが、何とか行ってきました。

しかし、撮影したもの(画像)は「3日後に取りに来てね」てことで、また3日間待機することになります。このブログを書く現在から5年も経っていない当時ですが、デジタルデータではなくレントゲンフィルムを物理でやり取りしていたので、自分で画像を受け取りに行って自分で病院に持って行かなければならないのです。

レントゲンの現像ができるまでに3日間必要だった訳ですが、この間にですね、咳がどんどんひどくなって、3日めの夜には間断なく咳が出るために胸や腹が苦しくなってきました。レントゲンを取りに行く日の前夜です。

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「間断なく」というのは比喩ではなく実際にです。絶え間なく咳が出続けるので呼吸は苦しいし結構体力が削られます。つらいので横になりたいのですが、咳って身体を横にするともっとたくさん出るようになるのですね。横にもなれないから眠ってやり過ごすこともできません。

夜間救急センター

あんまりしんどいので救急車に来てもらおうかと思いました。しかしその頃からタクシー代わりに救急車を呼ぶような案件が増えていて、ほんとうに生死の境にいるような人たちが救急車を使えなくなる、といったことが訴えられていたので、まずは119ではなく7119番に電話しました。

7119番とは、救急車を呼ぶべきか待機すべきかを相談できる窓口です。そこで病状を訴えてみますと「待機」の指示が出ましたので、救急車は呼ばないことにしました。

が、夜はあまりにも長いです。一ト晩耐えてレントゲンを取りに行ってさらに病院へ行くことを考えると、現在が苦痛でなりません。あまりに苦しいので、近所に住む姉に連絡して自動車で夜間急患センターに連れていってもらいました。既に自力で移動できる状態ではなかったのです。

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急患センターでは咳止めを処方してもらえました。帰宅後、薬を服もうとしますが、咳が出通しなので錠剤と水を口に入れて飲み込む隙がありません。数回の失敗の後、ようやく服みましたが咳がなくなる訳でなく、それでもいくらかましにはなって横になることが何とかできたので、朝まで少し微睡みました。

病院→救急車のコンボ

そうして眠れぬ夜をやり過ごして朝を待ち、始業時間の9時合わせでレントゲン画像を引き取りに行き、画像を受け取ったその足で病院に行きました。医師にレントゲンを渡し、待合室でぐったりしていると、しばらくして医師が出てきました。

「救急車呼ぶから、入院しよ?」

えええ? 私は今、病院にいるのでは?

医師が指定する搬送先が、おじさんが以前に入院したことがある市内の病院だったので、「それなら一旦自宅に戻って、入院の用意を持って直接行きます」と答えると、「いや、しんどいから救急車に乗って行きなさい」などと説得されました。

よもや病院で救急車を呼ばれるなどとは思ってもおらず、ミョーな気分で担架に乗りました。自分で歩けますと言っても救急車が来たら担架に乗せられてしまうのですね。知らんかった。診察室から外に停めてある救急車までだから、たいした距離ではないのだけど。

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救急なのでER(救急救命室)に運び込まれて、血圧やら血中酸素量やら測ったり採血したりしたと思いますが、この辺りは記憶が定かでありません。はじめての救急車乗車からのER入室だったもので勝手もわからず。

ベッドの上での採尿

ただ「おしっこ採ってください」と言われて採尿コップを渡されて、そのまま放置されたことはよく憶えています。

救急車からストレッチャーでERに入って、ベッドに移ります。ベッドが決まって救急隊員とER看護師との間で患者(この場合はおじさん)の受け渡し手続きが終わると、ずっとベッドの上にいることになります。採尿コップもベッドの上で渡されて、そのままです。「トイレはこちらです」とか何にもないのです。

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「これはこの場で採尿しろということか」と思い、ベッドの上でちんちんを出してコップの中に排尿しました。上手にコップの中に尿が入っていきます。

「すげー、採尿しやすい!」

ちょっとしたカンドーです。

女性型泌尿器を持っている人・持っていた人ならおわかりいただけると思いますが、女性型は、採尿が難しいんですよね。昨今は便器がほとんど洋式なので、さらに難しいです。採尿するときだけは、和式の方がやりやすいんですよね。

女性型泌尿器はコンディションの振れ幅が大きくて、尿が尿線にならないで皮膜状に出たりすることがあります。尿線として出たとしても真っ直ぐ前に飛ぶとは限らなくて、左右のどちらかに任意の角度で斜めになって飛ぶことも多いです。

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義務教育9年間は毎年採尿したものをプラ容器に入れて提出するというイベントがありましたから、その難度はおじさんもよく知っています。だからこそベッドの上での採尿で思いました。

「ちんちんすげー便利!」

現在のおじさんは普段、大小いずれもすわって用足ししますので、ちんちんの便利さを実感したのはこのときだけでした。しかし、こういった経験ができたのはとても有難いことだということは、このときも後にも思いました。

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