おじさんがおじさんになるまでの話

おじさんは昔おじさんではなかった。それどころか、男の子でさえなかった。男の子に生まれなかったおじさんが、いかにしておじさんになったかを少しずつお話ししていきます。

尿道狭窄の手術(2箇月振り3回目)

ごきげんよう、しょっちゅう眼精疲労からの頭痛を催すので頭に湿布薬を貼ってやり過ごすおじさんです。

陰茎形成術の予後がどんどん悪くなるおじさん。このブログを順番に読んでくださっているみなさんは「どうなってしまうの?!」とお思いなのではないでしょうか。

ここだけの話、いまが底です。いまが一番ひどいときのお話。

一番具合が悪い時期をどのように乗り切ったのか。お話ししていきますよー。

今度は切るよ

前回の記事では、2回目の尿道狭窄が起こったので再度手術を試みたところ、膀胱鏡(内視鏡)のガイドワイヤー(執刀医が操作する触手みたいなもの)が入り込む隙さえなくて、全身麻酔の上、膀胱鏡を挿入したにも拘わらず、手術は断念されたということをお話ししました。

さて、その後。

一度は「切開手術をする」と言った担当医のK医師でしたが、途中断念の1箇月後に造影剤を使った検査をした結果、途中断念時よりも狭窄の程度がましになっているので「もう一度同じ手術をしよう」と言い出しました。

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「ましになっている」というのは、髪の毛一本ほどの隙間があれば通るガイドワイヤーすら通すことができなかった、もはや閉じてしまっていた尿道に、隙間ができたということなのでしょうか。でもな、おじさんはもう2回もおんなじことしたんだから3回目はお断りしました。

切開するって言ってたんだから、切って治してよ。ということを言った訳です。「切開しての尿道形成でいいんですね?」って念を押されてしまいましたが、これにて切開手術が確定です。3回目の入院日を決めました。

切開手術は2週間の入院が必要とのこと。いやもー何遍でもどんとこい。30歳以降のおじさんは既に10回ほど入院を経験しています。入院のプロです。

膀胱瘻もケアが必要

手術と手術の間は尿道が使えませんので、膀胱瘻(に挿入したカテーテル)から排尿していた訳ですが、膀胱瘻自体もケアが必要です。1~2週間に1回程度、膀胱の中を洗浄してカテーテルを交換しないといけないのです。

,゚.:。+゚ 膀胱瘻洗浄の手順 ,゚.:。+゚
  1. 膀胱瘻に挿したカテーテルから、注射器のでっかいやつを使って尿を抜き取ります。
  2. 同じくでっかい注射器で、今度は生理食塩水を膀胱の中に注入します。
  3. 注入した生理食塩水を抜き取ります。
  4. 2と3を繰り返して膀胱の中をきれいにします。
  5. カテーテルをおもむろに抜去します。
  6. 新しいカテーテルを挿し込みます。
  7. おしまい

これがね、何か気持ち悪い痛さを伴うのです。

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膀胱の中身を吸い出されるのも水を入れられるのも気持ち悪いし、ちょっと痛い。カテーテルを抜くだけでも痛い。挿し込むのはもっと痛いけど、膀胱の痛みってどうやって緩和すればいいのよ? お腹に力入れられないし、歯を食いしばっても何だか違うし、ミョーな感覚。

毎回ミョーな痛みを感じていて、おじさんにとって膀胱瘻の洗浄は憂鬱なイベントとなっていたのですが、のちにこれは主にK医師のせいだったことがわかります。

やさしく丁寧に施術すれば痛くないんです。ちょっと気持ち悪いのは残るけど、上手なお医者がやれば痛みはあんまりない。後々、主治医のH医師にも同じことをしてもらうことになるのですが、そのときはこれほど痛くなかった。K医師が少々乱暴なのだった。

入院のプロだから緊張もなし

前2回の入院話で書きませんでしたが、泌尿器科の入院では尿測があるんですよ。排尿のたびに採尿をして、尿測機に入れるのです。すると機械が尿量を測って記録しておいてくれるんですね。もう尿瓶に蓄尿して尿瓶の目盛を看護師さんが目で読んで手で記帳するという尿測はしなくていいのです。


▲尿瓶での尿測の時代のお話は『おたんこナース』1巻(カルテ3「かぐわしき仕事」)で!

コップに採尿してざばーっと注ぎ込んだら、あとは自動的に尿量を測定してくれる機械というのがあって、おじさんは「まー便利になったこと」と思っていたのですが、その後、自動尿量測定器は全面的に廃止の方針となったそうです。

あんまり衛生的でないという理由らしいのですが、現在ではさらに便利なものができていて、トイレ一体型です。トイレでフツーに排尿すると、トイレが勝手に尿量を測って、測った後はフツーに水洗。すぐ流すから衛生面も安心。どこまで便利になるのか。

さておき。

入院に必要なものの用意も、入院しての尿測や緩下剤(排便を促す薬)の服用も、術前に弾性靴下をはいておくことも、同じ病院の同じ病棟に3回も入院すれば慣れたものです。もう入院のプロですから。

弾性靴下というのは男の子の靴下ではなく、ニーソックスほどの長さの、きつい靴下です。硬めの素材でできていて、下腿を圧迫して血流を心臓に戻すという役割を果たすそうです。

みなさんは、おじさんがタイの病院で、術後ベッドからはじめて降りたときに失神してしまったことを憶えていますか。忘れてしまった人、「それ読んでないわ」という人は下の記事をどうぞ。

ずっと横になっていると次に立ち上がったときに血圧が下がって失神してしまうのですが、弾性靴下をはいて脚へ巡る血流を抑制しておくと、それが防げるのですな。病院からの指示でおじさんもはじめてはいたのですが、何だよー便利な医療用品があるんじゃない、タイのお医者もこれ採用しといてよー。

3回目は切開手術

術着を着て弾性靴下をはいて手術に臨みます。前回までは内視鏡手術で今回は切開手術ですが、手術を受けるおじさんにとってはたいして変わりはありません。全身麻酔で寝ている間のことですから。緊張もなし。

手術は今回も難航したらしく、3~4時間かかったとのこと。執刀医のK医師によると、「(尿道を)引っぱってくっつけました。開けて(切開して)みたら思ってたよりひどい状態だったけど、何とかやりました。これで治ってくれたらいいんだけどね」。

何とも頼りないコメントですが、K医師だって陰茎形成術でつくった人工の尿道の手術なんて、おそらくはじめてなのでしょう。

以前にもお話ししたかと思いますが、おじさんの尿道は腕の組織を使って形成したもので、ネイティブ男性の尿道には存在する尿道粘膜がありません。粘膜があれば、断裂したAの尿道とBの尿道を再度つなげてやれば粘膜同士が再度つながって、尿道もくっついて治癒していくのですが、おじさんは粘膜がないので、つながるかどうかわかんないのです。

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あと10日ほど入院して、予後を見てみましょうというところです。K医師にもおじさん自身にも、手術の結果はまだわからないのです。

などと言いつつ病院生活を続けて、術後9日め。手術した身体の内側の経過は悪くはなかったのですが、切開した部分の治りがK医師の予想よりも遅かったとのことで、「入院を2週間延長」とか言われてしまいました。全部で1箇月入院ですか。一般病棟ではめずらしいことです(精神科ではよくある)。

しかし、実際には2日間の延長で済んだのでした。何だったんだ。

でもね。

と逆接の接続詞を口にしたところで、続きは次回に。そうです、これで「全快しました!」という訳にはまだまだいかないんですな。はっはー。

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