おじさんがおじさんになるまでの話

おじさんは昔おじさんではなかった。それどころか、男の子でさえなかった。男の子に生まれなかったおじさんが、いかにしておじさんになったかを少しずつお話ししていきます。

水とモツ

ごきげんよう、洗濯ものは乾きづらいのにウェットティッシュは直ぐに乾いてしまう部屋に住んでいるおじさんです。

前回は内性器摘出の手術を受けた当日のお話をしました。おじさんがお世話になったヤンヒー病院の看護師たちは有能だという例でした。おじさんのお腹の様子もちょっとだけ見て頂きましたね。

今回は術日翌日のお話です。
では、はじまりはじまりー。

水解禁

おじさん、うつ病持ちで不眠があるのにタイにいる間は薬が服めないので、眠れたような眠れなかったような一ト晩を過ごしました。でも手術中に麻酔で結構ぐっすり寝たのでまあいいか的な。

手術当日は一切水を飲んではいけなかったので、口の中がカラカラです。一度だけ「ぶくぶく」ってするうがいをさせてもらったのですが、「うがい」を英語でどう言えばいいのか、おじさんは寡聞にして知らなくて、ちょっとだけ困りました。

どう切り抜けたかと言うと、「I want to wash my
mouth」。これだけだと「ダメ」って言われるけど、口をぶくぶくのうがいのかたちに動かすと「OK」となりました。ジェスチャー大事。

だから、午前のうちに回診に来た執刀医の言葉はとても有難いものでした。

「You can drink water, a little」

「少し水飲んでいいよ」って!
執刀医がそう言ったすぐ後に、看護師が病室の冷蔵庫から備えつけのミネラルウォーターを出してきて飲ませてくれました。

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病室にはコップの類いも少し備えつけてくれてます。曲がるストローもあります。それをすべてセッティングして、ベッドの上で身動ぎもできないおじさんに与えてくれたのです。これも指示なく。どれだけ有能なのか。

執刀医が回診でやったことは、おじさんのお腹の傷を覆っているガーゼを指で何箇所か押しただけ。触診ですね。これだけで術後の経過がわかるんですねえ。

これ、あなたの。

回診が終わってほどなく、看護師が1人やってきて、ベッドに横たわるおじさんにあるものを見せました。ビニール袋に入った透明な液体とまるい何か。看護師が言います。

「yours.」

私の?

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あー、昨日取ったやつ。モツです。臓物。手術で摘出したおじさんの子宮。歯科とか外科は手術で取り出した現物を見せてくれるんだよね。

人によっては嫌がらせに思えるかもしれないけど、これは「ちゃんと手術しましたよ」という証拠でもあるので、見せないといけないんですね。

おじさんの子宮は、まんまるでつやつやしていて、とても血色がよかった。意識と身体に性別の齟齬がなければ切除の必要など微塵もなかったであろう、見るからに健康そうな子宮です。

「子宮は持ち主の拳ほどの大きさ」とよく聞きますが、ほんとうにおじさんの拳ほどの大きさでした。おじさん、一般成人男子に比べても手は少し大きめなんですけども。

自分の内臓を肉眼で見る機会など滅多にありません。「自分の腸を見た女」菱沼さんだって手術灯に反射したものしか見てないぞ。ぜひ写真に撮りたかったのですが、とっさに「写真を撮っていいですか」と英語で言うことができず、機会を逃しました。

英語で「写真を撮っていいですか」は「Can I take a picture of that?」です。

(「自分の腸を見た女」はこれ↑に載っています)

その後、この日はじめて病院の食事を食べました。おかゆでした。白いおかゆでしたが、モツが入ってました。臓物です。わーお、臓物続き。でもまるごとじゃないよ!

おじさん、モツ大好きです。でもね、まる1日絶食絶飲でお腹切ってるし、うつの薬服めなくて、すっごく弱ってるの。

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獣を余すところなく食うだけの元気がなくて、残してしまいました。ごはん残したのって生まれてはじめてじゃないかしら。

でも、インディカ米(長粒種)のおかゆ、おいしかったよ。

入院は続くけど

今回は入院第2日目、手術の翌日のお話でした。入院はもうちょっと続きますが、概ね寝て食事&おやつを食べてテレビを眺めて、という1日なので特記すべきこともなく。

あとは入院3日目のびっくりと抜糸のことをお話しして、内性器摘出術のお話はおしまいにしたいと思います。も少しお腹のお話が続きます。

 

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