おじさんがおじさんになるまでの話

おじさんは昔おじさんではなかった。それどころか、男の子でさえなかった。男の子に生まれなかったおじさんが、いかにしておじさんになったかを少しずつお話ししていきます。

ひろうかんしゅこんかんちりこんかん〔1〕

ごきげんよう、「どんな音楽を聴くんですか?」と訊ねられたら「モーツァルトから冠二郎さんまで」と答えるおじさんです。経由するのはQUEENとか光GENJIとかです(蛇行)。

さて、ただいまは性別適合手術の話は終わってしまったけど、ほかにも手術の経験があるのでついでにそのお話もしているところです。前回は逆まつげのお話でした。

今回はもうひとつの手術のお話、手根管症候群の手術についてお話ししますよ。

手根管症候群て何だ

まずは「手根管症候群」てーのは何かというお話をしておきましょう。「手根管症候群」と書いて「しゅこんかんしょうこうぐん」と読みます。

手首には正中神経という神経が通っているのですが、手根骨という骨と横手根靱帯とに囲まれたトンネルを通っています。このトンネルの名前が「手根管」です。

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手根管の中を通っている正中神経が、横手根靱帯が何らかの原因で分厚くなるなどで圧迫されることがあります。そうすると、手指に痺れや痛みが出てきます。

おじさんも右手の中指を中心に痺れがあり、それが次第に強くなっていったのでした。炭酸水の中に手をつけているような痺れが常時手にあるようになったのです。それから次第に上腕や前腕に痛みが現れました。

おじさんはものを書く仕事をしていて、以前に腱鞘炎をやったことがあります。だから今回も腱鞘炎かなー、と思っていたのですが、整形外科で診てもらうと手根管症候群ということで、自宅近隣の病院のお医者によると「切らんと治らん」とのこと。

靱帯が分厚くなって正中神経を圧迫して手指が痺れているので、分厚くなった靱帯を薄く削って正中神経の圧迫を解消してやれば治るという訳です。

て訳で、自宅近隣の病院から総合病院の整形外科に紹介状を書いてもらって受診したところ「これで様子を見て」と、痺れやら痛みを取る注射というものを手首の内側という珍奇な場所に打たれました。

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おじさん、膝に水がたまって水を抜くために膝の皿の横側に注射針を刺すということをしたことがあるんですが、それ以来の滅多な場所への針です。見た目もアレだし結構痛い。

でも、この注射効かなかったの。痺れも痛みもちっともなくならなくて、次回受診時にそのように担当医に訴えましたら、じゃ手術しよっか、とあっさり手術が決まりました。手術自体は簡単なもので日帰りでできるということで、手術日もすぐに決定。

やたらな痛みで身体も起きる

指定された日に病院へ行きまして、簡単に診察してもらって手術室へは歩いて行きます。手術台に上がって寝るまではどの手術も共通でございますな。

今回の手術は局所麻酔下で行います。これまでの経験でおじさんは局所麻酔が効きにくいことがわかっていますので、術前には「効きにくいので途中で切れないよう重ねて注意をお願いします」と何度かに渡って事前にお願いをしております。

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さて、手術を受けるのは右手でございます。手術台の上で右腕を体幹に対して直角に伸ばしますと、上腕の辺りに術野が見えないようにカーテン様の仕切りを置いてくれます。しかし音だけ聞こえてくるのもなかなかにおそろしいものでございます。

手のひら全部と手首周辺を消毒液で拭います。カーテンで仕切られているのでその実際は目にすることができないまま、濡れたもので手首から先をなでまわされる感覚だけがあります。

乳房切除術のときもそうでしたが、カーテンで術野を隠してくれても、何をするのかということを一部教えてくれるんですよね。「はい、これから麻酔しますよ」とか。

その麻酔というのが注射によるものだったのですが、まず手首に。手のひらを上に向けた状態で、小指側の、手のひらとの境い辺りに。そしてもう1本、手のひらのど真ん中。

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ど真ん中です。中指と薬指の間から真下に辿って、手のひらをきゅっと曲げると一番くぼむ辺り。手のひらの中心。

そこに針が刺さります。すげーーー痛いです。どれくらい痛いって、手術台に仰向けに寝ていた上半身があまりの痛みに勝手に起き上がってしまったほど。この手術で一番痛いのは麻酔注射でした。痛くないようにする注射が一番痛いとは、こはいかに。

それでね。

またご丁寧に「これから切りまーす」って教えてくれるのな。麻酔したから(効いていれば)痛くないはずだけど、おじさんは麻酔注射してから麻酔が効くまでに切開されて痛みに苛まれる2時間足らずというのを経験しておりますので、戦々恐々です。

手のひらさっくり

ヘラ状のものが手のひらを撫でる感覚があって、「あ、麻酔が効いてるんだ」と思いました。多分これがメスで切開している感触。痛くはないので、ある程度安心です。手術の最中に麻酔が切れたりしなければ。

しかし、手術中に麻酔が切れて(あるいはほとんど効かなくて)激痛に悶絶、という経験をおじさんは何度かしています。おっぱい切ったときとか、眼瞼下垂の手術したときとか。

あ、眼瞼下垂の話ってまだ少しもしたことがありませんね。手根管症候群の話が終わったら改めてお話ししましょう。このときも局所麻酔でひどいめに遭った。そんな訳で、安心はできません。

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で、案の定、途中から痛くなってくるのね。

「あ、痛いなー」程度のときに、我慢しないで早めに訴えました。経験上、そうすべきことがわかっていたからです。ちょっとした痛みを感じはじめてから激痛に襲われるまで、その変化の時間は思いのほか短いのです。早めに言っとかないと、またひどいめに遭います。

「痛いです」と訴えると「もう?!」と驚く声。だから、だから言ったじゃないですか。局所麻酔が効きづらい体質だって念を押したじゃないですか。強めに麻酔かけますって言ってくれたじゃないですか。

またぞろ悲惨な経験になるのではという想像と覚悟を同時にしたおじさん。しかし今回はすぐに追加の麻酔をしてくれて、比較的穏やかに手術を終えることができたのでした。

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注射だからちくっとしたけど。それから手のひらのいろいろを引っ張る感覚がしばらくあって、やがて手術は終わりました。全部で1時間半くらい?

包帯を巻かれて手術室を出ると、一ト月ほど続いた炭酸水に浸かっているような指先の痺れがすっかりなくなっていました。おお、すごい。

て訳で、痛みや痺れの症状がすっかり失せてめでたし、ではありますが、手根管症候群のお話はこれでおしまいではないのですな。手術の後の話もあります。またまた傷がなかなか塞がらなかったり。引き続き次回もよろしくお願いします。よ。

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