おじさんがおじさんになるまでの話

おじさんは昔おじさんではなかった。それどころか、男の子でさえなかった。男の子に生まれなかったおじさんが、いかにしておじさんになったかを少しずつお話ししていきます。

ひろうかんしゅこんかんちりこんかん〔2〕

ごきげんよう、通販などでいい感じの深さのダンボール箱が手に入ると「ねこにあげよう」と考えて、なかなか処分できないおじさんです。

性別適合手術以外におじさんが経験した手術のお話を前々回、前回として参りました。あっさり終わった手術というのがなかったおじさんです。いや、手術というものはたいていがそうなのかもしれません。

今回のお話は前回に引き続き、手根管症候群のお話です。手術は1時間半~2時間程度で終わり、手術が終わった途端に症状は治まりましたが、それで大団円という訳ではなかったのでした。

はみ出してたので

手根管症候群の手術は日帰りで、当日はそのまま鎮痛剤と抗生剤をもらって帰りました。帰宅後は早めに鎮痛剤を服んだので、麻酔が切れた後も痛みに悶絶ということもなく。3回程度3日置きくらいに通院しました。

診察ですることと言えば病状観察と消毒なのですが、おじさんの術創はなかなか閉じませんでした。切開した傷なんてたいてい3日もすればくっつきかけているものなのですが、おじさんの術創はぱっくり。縫合してあるから全開にはならないけど、傷の中がはっきり見えるくらいにはぱっくりです。

あんまりぱっくりだったので、術後初診察時におじさんは患部から目をそらしました。だって怖いもん。執刀医が鋏で何かを切るチョキチョキという音と、手のひらの一部がひっぱられる感覚があったので、傷の処置をしてくれたのは間違いなさそうです。

処置を終えた執刀医曰く、「はみ出してたので切っときました」。

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はみ出してたって何?!
何がはみ出してたんですか先生!

はみ出していた何かの説明もなく傷口にハイドロコロイド絆創膏を貼ってまた包帯巻いて、処置はおしまい。でも、次の診察のときも傷ぱっくりのままだったんだよねえ。

3回目の通院で抜糸の予定だったのだけど、いつまでもぱっくりしているものだから術創もくっつきようがなくて、その後は週に1回の通院が続きます。

これって先生の縫合が甘かったんじゃないのー?なんて、まだ糸がついている傷を見ると思ったりします。ほどけてきた雑巾みたいに糸の端っこを引っぱったら傷口がきゅっと閉まるんじゃね?と思ってやってみようとしましたが、そんな訳なかった。

縫合糸ってね、皮膚にくっついちゃうの。だから引っぱっても布みたいにきゅっと絞れなくて、糸に一番近い皮膚が引っぱられるだけ。抜糸が「ぴっ」「ぴっ」て感じでまつげを抜かれるみたいに地味に痛いのはそういうことだったんだ。

濡らしてはいけないので

さてさて。

術創が塞がるまではぱっくりしている手は濡らしてはいけません。包帯ぐるぐる巻きだしね。そうすると手を洗うということはできないし、入浴はしてもいいけど手術した手は濡らさないようにしなければなりません。手術したのは右手、おじさんの利き手です。

手を洗えないので、包帯から出ている部分は汚れたらウェットティッシュなどで拭いて済ませないといけません。この方法では対処できる汚れにも限界がありますから、できるだけ汚れないように気をつけながら生活しなければなりません。利き手なので、余計に注意が必要です。

汚れることが予め予想される作業をするとき、たとえばインクジェットプリンタのインクを補充するとか、揚げものやおかしを食べるとか、そういうときはゴム手袋をつけました。

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ゴム手袋と言っても洗剤などを使うときの厚手のものではなく、外科医が手術時に使うような、中身が透けて見えるような薄手のものです。100円ショップで10枚1袋くらいのものが買えます。

入浴時もこれを使いました。利き手を使わないことには顔も頭も身体も洗えないので、手袋をつけた上で、できるだけ手のひらに負荷がかからないように注意しつつ身体各所を洗います。

おじさんは真夏でもなければ湯舟に浸かりたい人なので湯にも入りましたが、右手の手首から先だけは湯から出して入りました。

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手術をした時期というのが4月末辺りで、かなり暖かかったんですよね。おじさんはもともと長風呂の人で短くても30分はかかるんですが、このときは15分以内に風呂から出ていました。それ以上手袋をつけていると濡らしてはいけない手が汗で濡れてしまうので。

結局のところ、本来なら術後1週間くらいでできるはずだった抜糸まで、1箇月くらいかかってしまいました。傷が塞がった、というよりは、塞がらなかったけど開いている部分にも新しい皮膚ができた、という感じです。その分、手のひらが広くなったんじゃね?(ちょっとだけど)

風呂も大変だったけど、食事も大変でね。術創がくっついて抜糸を済ませるまでは箸を使うのも難しいので、スプーンで食べられるもの、片手で食べられるものを選んで食べていました。お粥とかパンとかね。

治ー癒っ治癒ちゅちゅ

夏のお嬢さん。昭和の人だけ気付いてくだされば結構です。

えー、切ったり継いだりの手術を受けるたびにおじさんは思うんですが、人間の身体ってすごいね。切開しても糸で開いた部分を寄せておけばくっつくんだもの。多少、隙間があっても塞がるんだもの。

手根管症候群の手術では手首と手のひらを切ったのですが、手首は実にスムースに治癒して予定通りに抜糸できたので、このブログを書くまで切ったことを忘れていました。痕もよーく見ないとわからないくらいです。

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手のひらの傷痕も、手術をしたということを知っている人でなければ、ぱっと見たくらいでは気付かない程度です。じっくり見ると手相ではないと一見してわかる線があるので、怪我とか手術とかしたんだろなとわかるんじゃないかな。

それくらいの痕が残っているだけで、後遺症らしきものはありません。以前に腱鞘炎も経験があるので、仕事道具を見直して、手首周辺に負担がかかりそうなものを一新しました。

当時使っていたPC用キーボードはキートップが高かったので、高さを合わせるようにパームレストを置きました。マウスの下にもパームレスト付きのマウスパッドを敷き、マウスはトラックボールに変更しました。

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おじさんはマウスオペレーション時に肘を上げ気味で手掌でマウスを押さえるように使うくせがあったらしく、そのくせのために手首の腱が分厚くなってしまったのかもしれません。それを解消するのにトラックボールはてきめんに効果がありました。

何せ、トラックボールに手を置いたら動かす必要がないので、手首も安定しています。同時に利き腕側だけですが、アームレストも設置しました。アームレストに肘を置くようにすれば、肘が上がってしまうこともありません。

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これだけ揃えると、作業がかなり楽になりました。マウスに比べてトラックボールは高価ですが、使用感の快適なことを思えば、決して高くはありません。おすすすすめ。

手根管症候群の手術をしてから3年が経過、トラックボールを1台使いつぶしましたが、おじさんの右腕は元気です。

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