おじさんがおじさんになるまでの話

おじさんは昔おじさんではなかった。それどころか、男の子でさえなかった。男の子に生まれなかったおじさんが、いかにしておじさんになったかを少しずつお話ししていきます。

手術して、手術できなくて、また手術するよ

ごきげんよう、焼き餃子より水餃子の方が好きなおじさんです。

タイで受けた陰茎形成術の予後が悪いために国内の総合病院で手術を受けることになったおじさんですが、お腹に穴が開いちゃいました。その名は膀胱瘻。最初のうちはすごくひやひやしていました。今回はそのお話など。

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こみ上げる尿意が痛い

尿道狭窄の手術というのは、尿道口から内視鏡を挿入して行うのだそうです。と言っても、手術というのは大抵そうなのですが、患者であるおじさんは全身麻酔ですっかり眠っていますので、何をどのようにしたのかは一切わかりません。

終わった後に執刀医であるK医師がおじさんの病室にやってきて「思っていたよりも大変なことになってたよ」と言いましたが、「大変なこと」とはいったいどのようなことなのかは教えてもらっていません。

こーゆーのはいちいち訊ねるべきなのですが、手術の後というのは消耗している上に下腹は鈍く痛いし口腔内は乾いているのに水は飲んじゃ駄目だし、尿道カテーテルが挿入されているのに「こみ上げる」尿意があって、そのために膀胱周辺が痛いし、訊ねていられないのです。

て訳でいまだに何がどう大変だったのか知らないままです。

予想では1時間半ほどで終わる予定だった手術が3時間ばかりかかったようですから、それだけ厄介だったのでしょう。

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排尿ができなくなるまでに起こっていた「こみ上げて」きて「堪えられない」尿意がまたぞろ術後に出てきて、カテーテルが挿入されているので失禁の心配はないのですが、ぐぐーっと尿道が押し開かれるような感覚と下腹部の鈍痛が同時に現れて大変つらい。

また、それはやはり不意に来るので痛みに身構えることもできず、しばらく戦々恐々とせねばなりませんでした。

退院後、入院

術後3日間は手術した部分が化膿などしないよう、毎日1本ずつ抗生剤を点滴するのですが、それが終わると点滴も外れ、その翌々日には退院できます。金曜日に入院して次週の木曜日か金曜日には退院です。

退院時にはカテーテルも外してしまうので自前の尿道から排尿する訳ですが、術後すぐはさすがに太い尿線の排尿ができて、爽快でした。この頃は立位排尿も容易だったんですよ。

おじさんは基本的には排尿もすわってするのですが、外出時に軽装でかつ急ぐ場合は立位排尿していました。自宅では必ずすわります。掃除が大変だから。

目に見えないので「こまけーこと気にすんなよ」と思っている人も多いのですが、尿が便器にぶち当たって跳ね返る飛沫は、かなり高く、そして遠くへと跳ね返ります。揚げものを調理するときの油くらい跳ねます。

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おじさんは公共施設の掃除をする仕事をしていたことがあるので、トイレの掃除の大変さはよーく知っています。仕事場の施設は一生懸命掃除しましたしそれも苦ではありませんでしたが、同じくらい自宅を掃除するかというと全然そんなことはないので、なるだけ汚したくないのです。

すわって排尿すると尿線の太さは確認しづらいのですが、立位でもしていましたので、これはしっかりと確認しています。うどんくらい太かったです。爽快に排尿もできるようになったので、膀胱瘻の管も抜いて、閉じてしまいました。

ところが。

一ト月経ち、二月経ち。尿線が次第に痩せていきます。主治医の病院に戻って間もなくまた膀胱鏡検査をして、再び総合病院へ行って、手術をすることになったのです。1回目の手術から2回目の手術までの間、僅か2箇月です。

手術不可、腹に穴

で。

詳細は割愛しますが、1回目とほぼ同じ手順で同じ手術を同じ病院でもう一度受けました。膀胱瘻ももう1回開けました。お腹に開けた穴が塞がったのにもう一度穴を開けたのです。手術したけどできなかったからです。

どーゆーことかってーと、手術は尿道口から内視鏡を挿入して行うのですが、内視鏡には「ガイドワイヤー」なるものがついています。細ーいワイヤーなのですが、ロボットアームのように操作できます。これを操作して狭くなった尿道を、要はこじ開ける訳です。

ガイドワイヤーというのは髪の毛一本ほどの隙間があれば通してしまえるものなのだそうですが、おじさんの2回目の手術では、その隙間すらなかったということです。

それほど狭くなった、というか、いよいよ塞がってしまったおじさんの尿道。まさに断裂です。これからどうなるの?ってーと、ガイドワイヤーでこじ開けられないなら、切開するしかないよね、ということです。

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つー訳で、機会を改めて手術をしなければならないこととなりました。会陰部を切開して、尿道の途切れた一端ともう一端をつなぎ合せるという手術です。

ネイティヴ男性なら断裂した尿道を膀胱まで引っぱって接続してやればくっつくのですが、おじさんの尿道は腕の組織を使って形成した人工のものです。はたしてネイティブ男性と同じ術式で尿くっつくかどうか判らない、というのが執刀医のK医師の見立てです。

性別適合手術に詳しい医師に相談して手術をお願いした方がいい、伝を頼って適任の医師を探します」とK医師は言っておられたけれども、はてさてどうなることやらやらやら。

尿道はふさがってしまっているけど、排尿ができないと大変困るというので、今回は取り敢えず膀胱瘻だけつくったおしまいとしたのでした。

DIBキャップをおすすめする!

膀胱瘻というのは、前回も少しお話ししましたが、へその下3cm辺りに膀胱まで貫通する8mm程度の穴を開けて、そこにバルーンカテーテルを挿し込んで留置するものです。尿道が塞がってしまっても、膀胱瘻に挿入したカテーテルから排尿できるのです。

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カテーテルには上の写真のような黄色いキャップがつけてあって、排尿するときはこれを外して、カテーテルを便器の中に向けて放尿します。

このカテーテルは、普段は下着やズボンの腰の部分とお腹の間に挟んでおきます。排尿時はこれを引っぱり出せばいいのです。楽。ズボンの前を開けなくてもいいの。

 上の写真の黄色いキャップのようなものを「プラグ」と呼びます。このプラグが、ときどき勝手に抜けやがるのです。これを「自然抜去」と言います。

すわった姿勢で仕事をしているときなんかにですね、何だかお腹の辺りが生温いなー、と思ったらプラグが抜けて中身が洩れ出していることがあるんです。中身って、膀胱の中身ね。つまり無自覚におしっこが洩れてる。

プラグの自然抜去ならそりゃ無自覚です。プラグやカテーテルにはおじさんの神経は通っていませんから。お腹周辺が濡れているのを自覚すると慌てて抜け落ちたプラグを探さなければなりません。栓をしないといつまでもおしっこが出てくるので。

プラグを見つけてカテーテルに挿し込んだら、濡れた服やら下着やらを替えなければなりません。替えたら洗濯もしなければなりません。あーめんどくさい。このプラグの自然抜去が、割りと頻繁に起こりやすいのです。

そこでDIBキャップです!

ちょっとお値段が張りますが、大変便利な優れものです。まず、プラグのようにかんたんには抜けません。排尿時も抜かなくていいのです。キャップ自体が開閉するようになっていて、排尿時はキャップの蓋部分を開けて放尿します。

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▲こんな感じ。蓋部分は磁石でぴったり閉じられて、爪状の部分をきちんと引っかけておけば勝手に開くこともありません。黄色いプラグのときは、寝ている間に外れてしまうんじゃないかとひやひやしながら床に就いていましたが、DIBキャップなら安心です。

しかしおじさんの場合はDIBキャップに保険が効かなかったのと、お世話になっている病院では取り扱いがなかったために、自力かつ自費で買って使用しなければなりませんでした。

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