おじさんがおじさんになるまでの話

おじさんは昔おじさんではなかった。それどころか、男の子でさえなかった。男の子に生まれなかったおじさんが、いかにしておじさんになったかを少しずつお話ししていきます。

おしっこ問題勃発

ごきげんよう、缶ジュース1本80円時代を知っているおじさんです。

本ブログ冒頭からずっと、性別適合手術のお話をしています。都合4回の手術が終わってほっとしたかと思いきや、ほっとしている暇なんてないんですな。術後の方が何かとトラブルが起きます。

一番の難関だった泌尿器周り、つまり手術で形成したちんちん周辺も、複雑で大きな手術だけにケアは大変だしトラブルも起こりやすいです。

さて、手術が終わって帰国したおじさんにもトラブルが発生しまして……。

痩せる尿線

術創の予後がよくなくて病院通いのおじさんにトラブルがたたみかけます。排尿時に熱感を伴う痛みが発生するようになり、尿線が次第に細くなっていきます。

「尿線」て聞き慣れない言葉かもしれませんね。おしっこって滴が点々と出るんじゃなくて、線状に連なってでるでしょう? そのおしっこの線を「尿線」と言います。尿線が太いと、たくさんの尿がスムーズに出ているということです。

f:id:oji-3:20200724173141p:plain
おじさんはこの尿線が細ーくなってきたのです。うーん、もともとが細うどんくらいだったのが、冷や麦くらいになった感じ? つまり、おしっこの通り道や出口が狭くなって、少しずつしか出てないということです。

タイでの手術を終えて帰国して、おじさんはホルモン注射を再開しました。ホルモン注射を泌尿器科でしてもらっているので、そこのお医者先生にこの旨を相談したところ、「膀胱炎です」とのこと。抗生剤をもらって1週間ほど服むことに。

そうしましたら、熱感を伴った痛みはなくなり、尿線も、もと通りにはなりませんでしたが、ある程度太さも戻りました。治ったなー、よかったなと思っていたのですが、この後に大事件が起こります。

out of conrol

ある日中、尿意を感じたのでトイレに向かいました。大人になると、たいていの尿意は堪えきれるものです。

尿意を感じると、股間尿道近辺の筋肉を意識して締めることで、かなり我慢が利きますよね。締めるだけでは保ちそうにないときは足踏みしてみるともう少し我慢できます。そうしているうちにトイレに辿りついて、ことなきを得るものです。

この日のおじさんの尿意は違いました。

「あ、おしっこしたい」と感じた瞬間に腹の下の方からぐーっとこみ上げるものがあって、トイレまで移動している間に溢れ出してきたのです。おしっこです。もちろん、尿道近辺をぎゅっと締めるということはやっていました。

しかし、意識的に締めているのに、意識とは裏腹に筋肉が動いていない(ような感覚)で、さらに締めてみてもやっぱり締まらなくて、どんどん溢れてしまいます。

f:id:oji-3:20200724193904p:plain
膀胱にあるだけ出てしまうまで、おしっこは止まりませんでした。

呆然としました。こんなことがあるのかと。このときのおじさんは、厄年を過ぎたところ。確かにそろそろ締まりが悪くなってくる年令ではありますが、こんなに一気に締まらなくならないだろ、と些か戸惑いもしました。自分の意志で堪えることも止めることもまったくできないのです。

しかも、これには再現性がありました。尿意を感じた途端に津波のように身体の奥からこみ上げてきて、堪える間もなく尿が溢れ出してしまって出尽くすまで止めることができないという現象は、尿意のたびに起きたのでした。

先にお話しした通り、おじさんはこのときダイレーションをしていました。ちんちんにシリコンの管を常に挿し込んでいたのです。これを抜き去る間もなくおしっこは出てしまって、はいているものはもちろん、床も脚もそのたびに濡れてしまいます。

もちろん、泌尿科の主治医に相談しました。急に来る尿意、トイレに行きつくまで堪えきれないなど、過活動膀胱と似た症状なので、そのための薬を処方してもらって服んでいました。しかし改善される気配はありませんでした。

しかたがないので、紙おむつを常用するようになりました。突然に尿意が押し寄せてきて出てしまっても、2~3回は何とかなります。有難いなあ紙おむつ。

f:id:oji-3:20200724202635p:plain
紙おむつを自分で買ったことがない人はご存じないかと思いますが、紙おむつは着用者の身体のサイズだけではなく、吸収量でも種類分けされています。

「3回分」とか「7回分」とかパッケージに書いてあるものが多いです。「おしっこ3回分」とか、そんな意味です。「20cc」とか液体の量を表示しているものもありますが、回数で言ってもらった方がわかりやすい気がしますね。

過活動膀胱や尿洩れって、年老いて身体機能が衰えることだけが理由ではなくて、若くても起こる病気です。以前にもお話ししましたように、泌尿器系の病気はバカにされたり笑われたりが多いんですが、平和な日常生活を脅かし、生命の危険もあるものです。ゆめゆめ笑うなかれ。

そして、過活動膀胱などの排尿障碍があっても外出やおしゃれを諦めたくない人のために、できるだけ快適に過ごすために、こういうものも販売されています。

 ローライズ紙おむつです。排尿障碍がある人にもローライズはきたいって人はいるでしょう。そういう人はこれを利用するといいです。病気や障碍があっても人生楽しく過ごしたいよね。

紙おむつには男性用と女性用があります。身体のかたちやサイズが違うというのも理由のひとつですが、最大の理由は尿道口の位置でしょうな。おしっこが出る場所が違うの。

女性は身体の真下に近いところから出るけど、男性は身体のもっと前側と言うか上の位置から出る。紙おむつの吸収体もその辺りに重点的に配置しないといけないんだね。

排尿障碍の進行

紙おむつを常用する日常がはじまりました。「3回分」をいつもはいて、外出時にはさらに尿取りパッドをつけました。そうすると、買いものや病院に行くぐらいのことはできました。換えの紙おむつも1枚、鞄に入れて常時携行です。

尿取りパッドというのは紙おむつにつけて、紙おむつをすぐに駄目にしてしまわないためのもので、生理用ナプキン(夜用)の親玉みたいなやつです。大きくて厚い。

ホルモン注射や内性器摘出術を受けて、ようやく生理がなくなってナプキンが必要なくなったのに、またこういうものを股に当てる生活をしなければならないのかと考えると「とほほ」でした。

f:id:oji-3:20200724211556p:plain
遠方へ遊びに出るなどはおしっこの心配があるのでとてもできません。出掛けるなら予備の紙おむつとはきかえられる場所を確保しないと安心して行くことができません。おじさんはもともとインドアで、1週間くらい自宅の外に出ないってこともあるくらいだから全然平気だったけど。

だけどね、紙おむつ代って結構馬鹿にならないのね。手続きすれば保険が効くようになるらしいんだけど、おじさんは手続きするに至りませんでした。この後、紙おむつが必要ですらなくなる事態になるからです。

何が起きるの? それは次回以降で。

▼クリッククリッククリッククリッククリッククリック(怖)

ブログランキング・にほんブログ村へ